国際標準(ISO規格)に整合させた新JIS規格(JIS B 1111:2017)のねじ
主な変更点と違い
・国際規格(ISO)への適合
ナベ小ねじ:ISO 7045 H形に対応
皿小ねじ:ISO 7046-タイプ1 H形に対応
海外製品やグローバル設計の機器との互換性が向上しています。
・強度・材質の明確化
高強度のステンレス鋼強度区分である「SUS A2-70」が採用されており、従来の一般的なステンレス製小ねじよりも引張強度が明確化・強化されています。
・ザグリ穴・座ぐり寸法の差異
頭部の外径(dk)や高さ(k)の寸法許容差・設計値が変更されているため、従来の旧JIS用に設計された精密なザグリ穴(皿モミ深さなど)にそのまま使用すると、頭部の出っ張りや沈み込みの挙動が従来品とわずかに異なる場合があります。
(+) ナベ小ねじ:旧JIS vs 新JIS(ISO 7045)寸法比較
| 呼び径 (d) | ピッチ | 従来品(旧JIS規格) | 新JIS規格(ISO 7045対応) | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 頭部径 dk | 頭部高さ k | 十字穴番号 | 頭部径 dk | 頭部高さ k | 十字穴番号 | ||
| M3 | 0.5 | 5.5 | 2.0 | 1 | 5.60 | 2.40 | 1 |
| M4 | 0.7 | 7.0 | 2.6 | 2 | 8.00 | 3.10 | 2 |
| M5 | 0.8 | 9.0 | 3.3 | 2 | 9.50 | 3.70 | 2 |
| M6 | 1.0 | 10.5 | 3.9 | 3 | 12.00 | 4.60 | 3 |
(+) 皿小ねじ:旧JIS vs 新JIS(ISO 7046)寸法比較
| 呼び径 (d) | ピッチ | 従来品(旧JIS規格) | 新JIS規格(ISO 7046対応) | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 頭部径 dk | 頭部高さ k | 十字穴番号 | 頭部径 dk | 頭部高さ k | 十字穴番号 | ||
| M3 | 0.5 | 6.0 | 1.75 | 2 | 5.50 | 1.65 | 1 変更 |
| M4 | 0.7 | 8.0 | 2.30 | 2 | 8.40 | 2.70 | 2 |
| M5 | 0.8 | 10.0 | 2.80 | 2 | 9.30 | 2.70 | 2 |
| M6 | 1.0 | 12.0 | 3.40 | 3 | 11.30 | 3.30 | 3 |
結論から言うと、「一般的な市場全体にはあまり流通しておらず、入手には制限がある(または特注・特定メーカー品の扱いになる)」というのが実情です。
具体的には以下のような流通状況となっています。
1. 国内市場での主流は依然として「旧JIS品(旧規格)」
日本のねじ業界・流通市場では、過去の設備や設計・補修パーツとの互換性を最優先するため、現在も2006年以前の旧JIS寸法(ナベ頭・皿頭ともに)が「標準品」として大量に生産・流通しています。
2. 新JIS規格(ISO整合)ねじの立ち位置
・流通の現状:ホームセンターや一般的なねじ問屋の店頭・通常在庫としては、旧JIS品が9割以上を占めています。新JIS品は「グローバル機器向け」「海外輸出用」など特定の需要に限られるため、流通量は限定的です。
・購入手段:1枚目のカタログ資料(サンコーインダストリー様等)のように、ねじの大型商社や専門商社が特定ラインナップ(SUS A2-70等)として取り扱いを始めており、受注手配や取り寄せで購入することは可能になっています。
3. なぜあまり普及していないのか?
・作業性・工具の違い:皿小ねじのM3など、新JISではドライバーの番手が「2番」から「1番」に小さくなるため、現場で工具の誤用やカムアウト(なめる現象)が起きやすい。
・相手側の設計問題:特に「皿小ねじ」は、頭部径($dk$)や高さ($k$)が変わると、板金側の「皿モミ(ザグリ)加工」の寸法を変更しなければ頭が飛び出したり沈みすぎたりしてしまうため、既存製品の設計変更が進みにくい。
「規格上は2017年にISO整合の新JISへ改定されたものの、国内現場では今でも旧JIS寸法がデファクトスタンダードとして流通している。海外輸出用製品や特定メーカー品調達の際には、新旧の寸法違いに十分注意が必要」です!
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