「高力(ハイテンション)ボルト」と「高強度ボルト」
1. 根本的な違い(用途と規格)
・高力ボルト(ハイテンションボルト)
主な用途:建築鉄骨・橋梁・大型構造物などの「摩擦接合」用。
特徴:強い軸力(引っ張る力)で締め付け、鋼板同士の摩擦力で構造を一体化させます。
規格例:F8T(六角ハイテン)、S10T(トルシア形)など。
※サンコーインダストリー様 資料引用
ハイテン鋼/ドブ 六角ハイテンションボルト [F8T] (ナット・ワッシャーセット) M20×60 (1本入り)
強度クラス
・F8T:ドブめっき高力ボルトの標準品(引張強さ 800 N/mm² 級)
・F10T:標準高力ボルト(引張強さ 1000 N/mm² 級 ※原則ドブめっき不可)
・12G:超高強力ドブめっき高力ボルト(引張強さ 1200 N/mm² 級)
屋外などで強い防錆力(ドブめっき)が必要でありつつ、構造部を小さくしたい大型鉄骨・橋梁などで採用される高性能なボルト規格です。
・高強度ボルト
主な用途:一般機械・産業設備・自動車部品などの「締め付け(支圧・引張接合)」用。
特徴:ボルト自身が引っ張り荷重や剪断(断裁)荷重に直接耐える設計です。
規格例:8.8、10.9、12.9 などの強度区分(ISO / JIS)。
8.8強度保証 溶融亜鉛めっき 六角ボルト M20×60 (30本入)
2. 製品形態とセット性
実物の外観を見比べると、その違いが一目瞭然です。
| 項目 | 高力ボルト(例:F8T) | 高強度ボルト(例:8.8) |
|---|---|---|
| 外観 | ボルト + ナット + 座金2枚 | ボルト単体(全ねじ/半ねじ) |
| 販売単位 | セット品として管理・出荷 | 単体品(ナット・座金は別途手配) |
| 品質管理 | セット全体でトルク係数・軸力が厳格に管理されている | ボルト単体の引張強さ・耐力を保証 |
3. 表記・刻印の意味
どちらも数字で強度を示しますが、読み解き方が異なります。
高力ボルトの例(F8T)
・F:摩擦接合用(Friction)
・8:引張強さの級(800〜1000 N/mm² 級)
・T:引張性能保証(Tension)
高強度ボルトの例(8.8)
・最初の 8:最小引張強さ 800 N/mm2
・最後の .8:降伏比80%(=耐力800×0.8 = 640 N/mm2)
決定的なポイント
・摩擦接合に使えるかどうか
F8T(ドブ)は、ドブめっきを付けた状態でも狙った締め付け軸力(張力)が得られるよう、座金からナットの潤滑処理までパッケージ化されています。建築鉄骨で「ドブめっき指定の摩擦接合」を行う場合は、必ずF8Tセットを使用します。
8.8(ドブ)は、単にドブめっきを施して耐食性を高めただけの高強度ボルトです。トルク係数などがセットで管理されていないため、建築の摩擦接合には使用できません。
・セット vs 単体
F8Tは必ず「ボルト・ナット・座金2枚」のセットで管理・施工されます。
8.8は「ボルト単体」で購入し、必要に応じて対応するドブめっきのナット(強度区分8等)や座金を別途組み合わせます。
| 呼び径 (d) | 高力六角ボルト(F8Tセット) | 高強度六角ボルト(8.8) | ||
|---|---|---|---|---|
| 二面幅 S (mm) | 頭部高さ k (mm) | 二面幅 S (mm) | 頭部高さ k (mm) | |
| M12 | 22 | 8 | 19 (または18) | 8 |
| M16 | 27 | 10 | 24 | 10 |
| M20 | 32 | 13 | 30 | 13 |
| M22 | 36 | 14 | 32 | 14 |
| M24 | 41 | 15 | 36 | 15 |
| M27 | 46 | 17 | 41 | 17 |
| M30 | 50 | 19 | 46 | 19 |
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